昨日、今年度のスタートを切って『第22回トークサロン』が開催された。講師は、山田昌彦先生である、テーマは、ブドウの新品種「シャインマスカット」の開発について。 山田先生は、元「農研機構」に勤務されていた時に、シャインマスカットを始め、次々とブドウの新品種を開発された。
今回のトークサロンでは。いかにシャインマスカットが開発されたかを中心に、開発目標の設定、実現するまでの道のり、交配の具体的な方法、そして今後の方向などについて、詳しくまた分かりやすく話していただいた。
先生は、私たち日本人の食味志向が、時代とともに「欧州ブドウ」風味、大粒で、種無し、皮ごと食べられるのを好むようになってきたことを豊富な図表やデータを使って示した。しかし、それらを満たす品種を栽培するとなると多雨多湿な日本では病気が多発して非常に難しい。山田先生等は、この背反する特性を、欧州ブドウ系列と米国ブドウの系列を交雑させることで実現したのである。その道のりは、想像を絶するほど厳しく、長い年月を要した。なんと、ベースになる品種を選抜して、シャインマスカットを作出するまでには、70近くの組み合わせ交配を行い、約4500もの交雑実生を育成し、その一つ一つを評価したのである。こんなことは民間では決して出来ない。改めて国立機関の存在意義を認識した。
きっと、今回のトークサロンの参加者は、これからブドウを食する時には、きっと山田先生の話を思い出すことだろう。
四季を通して美味しい果物が豊富な八郷の地に、奇しくも先生のような方が来られて住まわれ、家族でブドウ園を開園したというのは、何か不思議な「土地との縁」があるような気がする。
山田昌彦先生、有難うございました。
